5月10日
パレルモ中央駅のバールで朝食。金はまだ払っていないのに、店員が既にもらったと言って聞かないので(英語ができる駅員が通訳してくれたがダメだった)、不本意ながら無銭飲食。そしてイタリア鉄道の列車に乗車。草原の丘陵地帯を走り、車窓を堪能したいところだが、全面ラッピング広告のようなものが施され、窓はすべて虫の目のような穴がたくさん開いているようなもので、景色は満足に見れない。残念。
1時間10分弱でアグリジェント中央駅に到着。荷物を駅ロッカーに預けた後、インフォメーションへ。電話に熱心で仕事には不熱心。駅前からは遠くにターコイズ・ブルーの海がかいま見える。3番バスに乗車。博物館前で降りる予定だったが、予想通り降り過ごす。次の神殿の谷まで行き、降車。入口のトイレは便座も紙もあって素晴らしい。
アグリジェントの遺跡巡り、まずはジュピター神殿へ。己の想像力が試される。ディオスクロイ神殿では転がる石柱の中に復元された神殿が立ち、雰囲気がある。エルコレ神殿は石柱の存在感が素晴らしい。そして保存状態の良いコンコルディア神殿はまさにギリシャ神殿。遠足の子ども達がうざいがでも素晴らしい。一番奥にあるジェノーネ・ラチニア神殿からは、青い地中海とシチリアの荒涼とした丘陵、そして斜面にへばりつくように立つ現代の街を臨むことができ、咲き乱れるミモザの黄色い花を含め、あたり全てが美しい。

コンコルディア神殿【アグリジェント】
続いて排ガスまみれになりながら20分強歩いて州立考古学博物館へ。ここのトイレも便座も紙もある。中身はずらっと出土品などが展示されているが、それだけ。売りの人像柱は確かにでかい。隣のサン・ニコラ教会には入れず。教会前の小円形劇場の遺跡は見れた。
1番バスで駅に戻り、荷物をピックアップしてバスターミナルへ。しかし目当てのバスが見つからない。違う会社の職員が人が良さそうだったので聞いてみたが、「モメント」と言うばかり。と、二階建てのバスがやってきた。それが待っていたバスだった。せっかくなので二階の最前列に着席。窓は汚いが、眺めはいい。うつらうつらしながらも時々車窓を撮る。
そして2時間半強でカターニアへ。中央駅にあるインフォメーションに行くが閉まっている。仕方なく情報不足のまま429番バスに乗車。しかし最初(?)のバス停で乗り降りがあった後、なぜか折り返し、駅へと戻り(ただし停車はしない)、別の道を進んで行く。意味不明。目的地の大聖堂からどんどん離れていっている感じがしてきたので、よく分からない場所でとりあえず下車。自分どこにいるかを把握するのに時間がかかる。
たまたま円形闘技場の近くだったのでせっかくなので見学。それから歩行者天国になっているエトネア通りをそぞろ歩き。石畳に石造りの建物が並び、ほどよく賑やかで間違ってここに来て良かった。ドゥオーモ広場の像の噴水を見た後、当初の目的地の大聖堂へ。最初はでかいが簡素な内装だと思ったが、よくよく見ると、火山岩(?)を使った柱などが趣深い。ベッリーニの墓は閉鎖中の模様。
その後マルタ行きのフェリー乗り場に向かう。しかしガイドブック掲載の地図が適当なため、港の中の、どうみても貨物エリアの中を迷いまくる。インフォメーションは見つかったが閉まっている。さらに右往左往し、ようやくフェリー会社「ヴィルトゥ・フェリー」の小さな小屋を発見。
一人だけいたおやじに予約メールを印刷したものを見せると、「今日はキャンセルだ。明日夜9時、ポッツァーロから出る」と。ふざけてる。しかし仕方ないので、金を返せと言うと、ここではできない、ポッツァーロへは駅からバスで行け、金が欲しけりゃ月曜日にマルタのオフィスに行けときた。人を馬鹿にするにもほどがある。しばらく声を大にして押し問答したが全く埒が明かない。諦めてとりあえず駅に向かう。
足早に歩きながら代替案を考える。旅行会社がどこにあるかなんて分からないから、とりあえず空港に行ってマルタ行きを探すことにする。その間、腕に刺青を入れた男に腕を掴まれたり(煙草が欲しかったらしいが、持っていないし、例え持っていてもお前にくれてやるたばこは持っていない)、タクシーの客引きに引っかかってみたら白タクだったり(白タクなら乗らないと言うと、俺は正しい運転手だ、嘘だと思うなら駅員に聞いてみろと言って、駅の切符売り場まで連れて行かれて、駅員に「そうだ」と言わせていたが、グルに決まってる)と散々。
駅に着いても今度は空港行きのバス乗り場が見つからない。チケット売り場の係員は早口のイタリア語でまくし立て、「プリモ」(一番)しか聞き取れない。そして一番のバス停は二ヶ所あり、片方には違うバスの番号が、もう片方は表示の紙がくしゃくしゃになっていてよく見えないが、違うもよう。近くのオバチャンに聞くとこれまた早回しなイタリア語(しかも「ノン・イタリアーノ?オー?」などといって確認しながら、さらにべらべらしゃべる)。空港を経由して別の街に行くバスらしきものを見つけたので、その運転手に聞くと、運転台から顔を出して、ご親切に身振りで場所を示してくれたが、そっちに行ってもバス停らしき所はない。
少し離れたバスターミナルに戻ってみたが、長距離用らしく、空港行きの表示がないし、そもそも職員が一人もいない。駅に戻り、外で煙草を吹かしている運転手に尋ねたところ、折よく空港行きバスが登場。ようやくバス(457番)に乗れた。乗ったはいいが渋滞でなかなか進まない。そして30分ほど走ったらなぜか駅前に戻って行く(停車はしない)。訳が分からない。その後15分ほどでようやく空港に到着。ただいま19時50分。港を出てから2時間近くもかかってしまった。
出発案内の画面を見る。アムステルダムやケルンなど欧州諸都市行きばかりで都合良くマルタ行きがあるわけがない。明日に飛んでいる便があればラッキーか。アリタリア航空のカウンターがあったので明日マルタ行きがあるかと聞くと、それなら後ろのカウンターのエアーマルタがあるとのこと。とりあえず助かったと思い、後ろにまわるがエアーマルタなんてない。さらに二つのカウンターに聞いてようやくSACのカウンターに行けと言われる。しかしそこは無人。と、職員が出てきた。帰ってしまいそうな雰囲気だったので、急ぎ呼び止めマルタ行きはあるかと問うと、「(今晩)11時のフライトがある」と。奇跡が起こった。・・・と言うほどのことでもないが、当時の自分にとっては紛れもなくそれは奇跡だった。
フライトは予定より1時間遅れるし、マルタのホテルに電話した際に勧められるがままに依頼した送迎車(ただのタクシーだったが)のドライバーには会うなり「フライトが遅れていて俺は疲れた」と嫌みを言われるし、不愉快なこともあったが文句は言うまい。部屋にたどり着いたのは深夜1時半前と遅くなったが、予定通りマルタに到着。疲れた。
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